はじめに
2020年9月26日に第53回情報科学若手の会を開催いたしました。今年は新型コロナウイルス感染症の影響により、Youtube Liveを用いたオンライン開催致しました。事前のオンラインの申し込み者数と招待講演者を合わせた人数は265名にのぼり、様々な分野の発表を行い、活発に議論しました。
発表および議論
以下のような発表枠を用意し、議論を行いました。 本年は通常発表4件、招待講演2件の発表がありました。
- 招待講演: 35分又は50分 (質疑含む)
- 通常発表: 15分(質疑含む)
発表一覧 (敬称略)
招待講演 1: 「『シン・テレワークシステム』おもしろ開発秘話」 登 大遊 (IPA, NTT 東日本)
新型コロナ対策 NTT 東日本-IPA「シン・テレワークシステム」 https://telework.cyber.ipa.go.jp/ は、突然開発をしたものですが、比較的安定して稼働しており、十分な性能と安定性が実現できました。Raspberry Pi 4 (1 台 1 万円以下)を大量に並べて SSL-VPN の通信の中継を実現しています。そのおもしろ開発秘話についてお話をさせていただきます。
通常発表 1: 「短期間で大規模な仮想ネットワークの展開のお作法」 嶋 勝也 (シスコシステムズ合同会社)
NETCONやJANOGハッカソン等のイベントで短期間で大量の仮想ネットワークを提供してきました。その中身やお作法を公開したいと思います。
通常発表 2: 「社会人博士のススメ」 湯村 翼 (情報通信研究機構)
社会人博士を通じて得た経験やアドバイスを若者に伝えたいと思います。
招待講演 2: 「攻撃性評価とエクスプロイトコード生成の自動化」 木村 廉 (株式会社リチェルカセキュリティ)
2016年、米国国防総省DARPAはCyber Grand Challenge (CGC)を開催し世界中の研究所がハッキングの自動化、特に脆弱性解析やエクスプロイトコード生成の自動化システムを開発し競い合いました。これらの技術は2020年現在においても数多くの企業や政府が活発に研究開発を進めている領域であり、従来人の手で行われてきたペネトレーションテストの作業コストを大幅に削減することが期待されています。本講演では脆弱性の攻撃性評価(Exploitability Assessment)とエクスプロイトコード自動生成技術(Automatic Exploit Generation)について紹介します。
通常発表 3: 「Juliaで機械学習」 ダニエル (東京農工大学)
機械学習をするに当たり、面白い機能がたくさんあったのでそれについて話そうと思います。
通常発表 4: 「電子辞書は組み込みLinuxの夢を見るか?」 末田卓巳 (@puhitaku) (フリーランス)
究極の趣味、Linux移植。その魅力をご覧に入れます。
懇親会
ナイトセッションでは例年のオフラインでの懇親会の代替として、Discord LiveやZoomを用いた発表時間制限無しのLT発表を行い、2件の発表があり、のべ参加者数は40人以上を数えることとなりました。 このほかにも多くの飛び込み発表があり、本会より長時間に渡る盛況となりました。
おわりに
参加者全員がいろいろなトピックに触れることができるとともに、異分野の研究者ならではの同分野と異なる視点での議論や新たな可能性についての討論など研究者の視野・研究者同士のつながりを広げることができ、有意義な会合となりました。
来年度も同時期に情報科学若手の会を開催する予定ですが、イベントの実施形態等は新型コロナウイルスによる情勢を鑑みて柔軟に検討したいと考えています。下記のWebページにて随時情報を更新しております。多くの方のご参加をお待ちしております。
謝辞
招待講演を快く引き受けてくださいましたIPA, NTT 東日本 登 大遊様、株式会社リチェルカセキュリティ 木村 廉様、この若手の会開催にあたり様々な面からご支援くださいました明治大学 横山先生をはじめとするプログラミングシンポジウム幹事の皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。
幹事
- 黒崎 優太 (株式会社サイバーエージェント)
- 久下 柾 (東京都立大学)
- 佐々木 康汰 (さくらインターネット株式会社)
- 高橋 真奈茄 (ヤフー株式会社)
- 武田 真之
- 田中 京介 (電気通信大学)
- 和田 佳大 (株式会社サイバーエージェント)