はじめに
2007年9月15日から9月17日にかけて第40回情報科学若手の会を開催いたしました。会場は東富士リサーチハウス(静岡県駿東郡小山町)で行いました。全国より27名(招待講演者を除く)が参加し、いろいろなジャンルの発表を行い活発な議論を行いました。
発表および議論
以下のような発表枠を用意し、議論を行いました。各発表は質疑応答を含め1時間強で行いました。
9月15日
地理情報に基づくオーバーレイネットワーク 松浦知史(奈良先端科学技術大学院大学)
広域からのセンサデータを収集、利用するLive E!プロジェクトの紹介と負荷を分散しつつセンサデータを収集・管理するための地理位置に基づいたオーバレイネットワークについて発表していただきました。負荷分散、センサからのデータの取得、データの利用などについて議論を行いました。
センサネットワークの取り組み 池内康樹((株)ACCESS)
発表者の所属している(株) ACCESS で行っているセンサーネットワークへの取り組みについて発表していただきました。センサーネットワークのもたらす可能性、モバイルコンピュータの未来について議論を行いました。
9月16日
コンピュータゲームプレイヤの今 三輪誠(東京大学)
コンピュータゲームプレイヤについて、コンピュータゲームプレイヤの現状、現在用いられている技術について発表していただきました。ゲームや評価関数のモデル化、技術の現実社会への応用について議論を行いました。
科学シミュレーションの昨今 大日向大地
シミュレーションとCAE (Computer Aided Engineering)、次世代スーパーコンピュータそれぞれについての紹介とこれからのシミュレーションやHPCについて発表していただきました。シミュレーションの対象や目指すべき方向、次世代スーパーコンピュータの利用方法について議論を行いました。
招待講演
本年度の招待公演はウタゴエ株式会社の首藤一幸様にお願いしました。首藤様には「Proof of Conceptのその先に~オーバーレイネットワークの実際~」という題でご講演いただき、オーバレイネットワークのソフトウェアを研究・開発し、それらを実用化、商用化する過程で経験した事柄、研究職とベンチャーの間での違いについて考えたこと、感じたことについて話していただきました。
システム設計のための柔軟性の高いシミュレーション環境 三好健文(東京工業大学)
システムアーキテクチャの設計および評価のために簡単でシミュレーション環境「MICS」についてその概要と動作モデルについて発表していただきました。割り込みなどのMICSの実装やアーキテクチャの設定やその上で記述されたプログラムなどMICSの利用方法について議論を行いました。
音を利用した知識獲得についての検討 深山鷹一
e-learningにおいて起こる学習意欲・興味の低下の問題を音を有効に利用することで軽減する方法について発表していただきました。
その他
その他、夜のセッション(宴会)以外にも以下に述べるデモセッション、飛び込みセッションを行いました。
デモセッション
例年通り日頃の研究や趣味などで開発しているソフトウェアのデモを披露するセッションを設けました。
招待講演者であるウタゴエ株式会社の首藤様によるCasting Grid、筑波大学の水島さんによるプログラミング言語Onion、東京大学の早水さんによるS式で書くParsing Expression Grammarについてデモを行いました。
飛び込みセッション
例年どおり、飛び込みで発表したい人を募り飛び込みセッションを行いました。
東京大学の早水さんによるEmacsからのTwitter、電気通信大学大学院の安齋による大日向さんによる情報科学若手の会の英語名の提案、小室さんによるBF言語インタプリタのいろいろな言語による実装、東京大学の齋藤さんによるDSL (Domain Specific Language)におけるドメイン特有な機能のプログラミング言語による簡潔な記述、について飛び込みで発表を行いました。
おわりに
参加者全員がいろいろなトピックに触れることができるとともに、異分野の研究者ならではの同分野と異なる視点での議論や新たな可能性についての討論など研究者の視野・研究者同士のつながりを広げることができ、有意義な会合となりました。
来年度も同時期に情報科学若手の会を開催する予定です。多くの方のご参加をお待ちしております。開催日、開催場所は現在検討中ですが、以下のウェブページで随時情報を更新していきます。
情報科学若手の会 http://wakate.prosym.jp/
謝辞
招待講演を行ってくださいましたウタゴエ株式会社の首藤一幸様、多額のご援助を頂きました財団法人慶応工学会様、この若手の会開催にあたり色々と面倒を見てくださいました電気通信大学の多田先生をはじめとするプログラミングシンポジウム幹事の皆様にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。