はじめに
情報科学若手の会は今年で37回目の開催となりました。平成16年9月4日〜平成16年9月6日の会期でサンパレア瀬戸(愛知県瀬戸市)にて開催され、参加者として全国から28名(招待講演者を除く)が集まりました。
発表および議論
全体としての4つのテーマを設け、以下のテーマ毎にセッションを構成し発表が行われました。
プログラミングの能力を測るためのものさしとは 長慎也 (早稲田大学)
プログラミングの試験において、採点の手間を考慮して割と簡単な穴埋め問題を期末試験問題を行っても、プログラミング能力のよしあしを測っている気がしないのが現状である。そこで、いわばTOEFLみたいな、採点が楽で、けっこう信頼できる能力を測るためのあたらしいものさしができないかどうかについて議論を行いました。
P2P型ネットワークゲームのチート対策 吉本晴洋 (東京大学)
P2P型ネットワークゲームは、負荷分散、サーバ管理の必要がないなどいろいろな可能性を秘めている。しかし、セキュリティ面では、信頼を置ける場所がないため、タダでさえ難しいチート対策が、さらに難しくなっている。そこで
- サーバ・クライアント型との比較
- どの暗号ツールが使えそうか
- 負荷の増加との兼ね合いについて議論を行いました。
Drowing in information and starving for knowledge 岡野原大輔 (東京大学)
大量のデータが手に入るようになった中、そのデータを扱うためには従来の手法とは違った方法が必要である。例えば数GBのデータの中から任意の部分文字列を探索するには、前処理を加えなければ実用に耐えるような計算量では行うことができない上、メモリ使用量も問題になっており、また、大量の情報を分類し整理しておくことや、要約するといったことも必要となっている。この現状を踏まえ、
- データ圧縮のあたらしい展開
- クラスタリング
- 固有表現抽出の3つの視点から、膨大な情報を元にした新しい知識の表現方法について議論を行いました。
計算機アーキテクチャとプログラミング 大日向大地 (電気通信大学)
計算機アーキテクチャの設計は、そのアーキテクチャ上でどのようなプログラムが実行されるのか、どのようなプログラムを実行させたいのかを考えながら行わなければならない。またプログラムを書くときもアーキテクチャの性質についてよく理解しなければ、よいプログラム記述は不可能である。このような計算機アーキテクチャとプログラミングの関わりについて述べていただきました。
また、現在主流のアーキテクチャから大きく飛躍したアーキテクチャの可能性について議論を行いました。
また、招待講演者として東京大学の増原先生をお招きし、"アスペクト指向プログラミングに関する十の神話"と題してアスペクト指向プログラミングに関するご講義をしていただきました。
さらに、今年度より新たな試みとして、"21世紀のコンピュータ"という題材でパネルディスカッションを行いました。
21世紀のコンピュータ - 希望する計算機環境とは 蟻川浩 (奈良先端科学技術大学院大学)
20世紀後半に誕生したコンピュータは様々な進化を遂げ、我々の生活になくてはならないものとなりました。さらに進化を遂げるであろうコンピュータに対して、我々ばどういったコンピュータを希望するのか、それに対してどう研究開発を進めていくのかについてディスカッションを行いました。
おわりに
当会合では各発表について異分野の研究者ならではの提案、助言が活発に行われました。これは今回の若手の会の大きな成果であると考えます。